新宿三光町日乗

見かけたもの、出かけた場所、食べた料理などを写真中心に

社長さんの知恵袋 第6回 デザイナーからプロダクトメーカー(仮)へ (その1):2010年9月

f:id:fujita244:20130221184645j:plain佐藤可士和さん)

 

前回、コンテンツについて考えるうちに、プロダクトとパッケージという話になっていったわけですが、そこにはデジタル化の進展によってデザイナーという仕事が大きく変わってきたことと密接な関係があります。

デザイナーという言葉は、実にさまざまな業種で使われています。 (ウィキペディアでデザイナーを引いたらば、30くらいの領域が出てきました) ところが、服飾デザイナーとかプロダクトデザイナーとか、グラフィックデザイナーとこれまで呼んできた各職種の境目がこのところ曖昧になり、さらに多分野で活躍するとデザイナーではなくクリエイターと呼ばれたりするようです。

デザイナーはどこに向かおうとしているのか?

しかし、デザイナー自身は、そうした変化に自覚的であるように思えません。 あえて言えば、アートディレクターという職業名を名乗るようになった人たちが、デザイナーではなく、もう少し広い範囲を見ているよ、という指向性を発信していたと言えるかもしれません。

その最たるものが佐藤可士和さんでしょうし、佐藤雅彦さんもその嚆矢だと思います。 その前のアートディレクターと、彼らの違いは、テクノロジーの変化に敏感であったことです。

実は、デザイナーを取り巻く状況の変化というのは、デザイナーという職業が変化してしまったのではなく、そのあり方が変化したために生まれているのではないでしょうか。 デザイナーと呼ばれる職種は、どの分野でも徒弟制度によって、弟子についたり修業をしたりというもので、下積みを経てチャンスを掴んでデビューするものでした。そのあいだに身につけるべき「技術と知識」が多層にあって、それを突破するのが難しかったからです。

ところが、最近の状況をよく見ていくと、職種の背景にある専門知識が必要であることは変わらないものの、その表現に必要な技術の方が大きく様変わりしています。つまり、技術がデジタル化によって共通化したり、習得が容易になって参入障壁が下がったりしているために、デザイナーという職種が大きな変化を招いているのではないでしょうか。

デザイナーという仕事が変わりつつあるんだという話を、数回に分けて考えたいと思います。 そして、デザイナーがマーケティングを内包していることを自覚した結果、 その先にあるプロダクトメーカー(仮)にならざるを得ない状況を招いているのが今なんじゃないか。

というような話になっていく予定ですので、書き手である私の体力が回復するまで、もう少し待っていただきたいと思います。