新宿三光町日乗

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社長さんの知恵袋 第9回 ソーシャルの時代が来たようです:2010年12月

f:id:fujita244:20090601111154j:plain池上彰さん)

今年も早いもので終わろうとしています。

今年の4月からソーシャルというテーマからコンテンツとは何かに移りながら8回書いてきましたが、ここに来て、当初お話ししたソーシャルとか電子書籍の話をあまりしてこなかったなと、反省しています。

第1回 はじめに〜ソーシャルって何?〜

第2回 ツイッターで何ができるか

第3回 ソーシャル・メディアの背景

第4回 ユビキタス化するメディア

第5回 コンテンツってなんだろう?

第6回 デザイナーからプロダクトメーカー(仮)へ (その1)

第7回 デザイナーからプロダクトメーカー(仮)へ(その2)

第8回 デザイナーからプロダクトメーカー(仮)へ(その3:完結編)

そこで、今年最後なので、振り返りながら、ソーシャルの話をします。 なぜかというと2010年を一口で言うと、メディアの重心がマスからソーシャルに変わった年と言えるのではないかと思うからです。 今年の流行語を見ても、マスからソーシャルへという流れが見えます。 「新語・流行語大賞」のサイト(http://singo.jiyu.co.jp/)を見ると時代の流れが見えてきます。

 

流行語に観る時代の変化

 

今年の大賞の「ゲゲゲの〜」、トップテンのひとつ「無縁社会」はNHKのドラマ発信ですが、これを「コミュニティ」という切り口で見ると、コインの裏表のようなものだと言えます。ファンタジーのような夫婦の物語と血縁や地縁というコミュニティから切り離された人々の現実という裏表になっています。

「イクメン」「AKB48」「女子会」は、これまでの「常識」を打ち破った「あり方」とまとめることが出来ます。男性の育児、劇場中心のアイドル、女性だけの飲み会、これらを支えているのはマスコミではなく、実は「ネットでの情報共有」だったりします。

「いい質問ですねえ」は池上彰さんのニュース解説が、ニュースのような一方的なものではなく、聞き手参加型の解説、ひな壇芸人を受け止めて大きく見せるプロレス型の解説だということを示すキーワードです。これは、マスコミである新聞やテレビの解説が「分かりにくい」という不満を解消する手法であり、ソーシャルの重要なキーワードである「共感型」の解説と言えると思います。

食べるラー油」は、マスコミでの広告を12日間しか行っていない、クチコミでのヒット商品。 ブログでの評判と、ツイッター上での「桃ラーなう」が爆発的な流行をうみました。

「ととのいました」は、なぞかけという古典的な寄席芸を誰もがあるパターンとして共有するフォームとしての掛け声といえます。「出来ました」ではなく、「整いました」というところが、ゲスな芸になりがちなところを品があるものにしていると思います。

「〜なう」は、まさに、今年を象徴するヒット商品である「ツイッター」でのキーワード。 これも、どこにいるか、何をしているかを「共有する」ための決まり文句でした。

流行語をさかのぼってみてみると、5年前の2005年の流行語に「ブログ」が入っていますが、それ以外はマスコミをうまく使った結果が見えてきます。 しかし、今年の流行語は、マスコミをうまく使ったというよりも、マスコミとソーシャル・コミュニティをうまく連動させた物(AKB48)、ソーシャル・コミュニティからマスコミに広がった物(女子会、イクメン、食べるラー油、〜なう)が目立っていると言えるのではないでしょうか。

 

ニュースもソーシャルツールが

 

こうしたソーシャル・コミュニティが流行の起点になるとか、情報の起点になる事象が今年大きく世間を揺るがしていました。 読売新聞社の日本の10大ニュースの第1位は「尖閣諸島沖で中国漁船が海保巡視船と衝突、海上保安官が撮影ビデオを流出」でした。(元記事はこちら

これは、Youtubeに流出したということが重要で、これまでならば新聞社かテレビ局に持ち込まれていただろう内部告発が、本人の手で直接ネットに行える時代になったことを示しました。

マスコミの狼狽ぶりは、その後の政府への情報漏洩の失態を指摘する攻撃の厳しさにあらわれています。あれが、テレビ局ならば、情報提供者の守秘義務などと言って、犯人探しは行われなかったかも知れません。しかし、テレビや新聞が積極的に犯人探しを行ったにもかかわらず、全く予想しなかった神戸からあらわれたこともあって、マスコミの行動のにぶさを露呈するだけでした。

芸能人やスポーツ選手の結婚や離婚、移籍情報などもツイッターやブログで本人が直接発表し、それを芸能ニュースが後追いするのが当たり前になってきました。 これも芸能人だけの問題ではなく、誰もがマスコミにイイトコどりされずに、自分のメディアで自分が言いたいことをストレートに読者なりファンなりに伝えることができるようになったということを示しています。

それを政治の世界で使っているのが、最近の小沢一郎さんです。 テレビや新聞の質問には答えないのに、ニコニコ動画でツイッターでの質問に答えたりしています。 今から40年ほど前に、佐藤栄作首相(当時)が新聞は信用できないからと、記者を会見場から追い出し無人の記者会見場でテレビカメラに向かって国民に直接語りかけるという行動に出たことがありましたが、それを彷彿とさせます。

大衆が好むメディアの変化に政治家という生き物は敏感です。

小沢一郎という「最後の昭和政治家」のような人が、ニコニコ動画に出るというのは、この政治家という生き物の本能なのかも知れません。 それだけ、マスコミを通じてではなく、ネットコミュニティやソーシャルコミュニティを通じた情報発信が重要になってきていると言えるのではないかと思います。

 

まだやってないの?

 

そんな時代に、ブログもツイッターも見たこともないとか、私はつぶやきませんとか言っていて、果たして情報をつかむことができるのか? (結局、「つぶやかない」と言っていた谷垣さんも一時期ツイッターをやっていました。最近見ませんけど)

自分から「つぶやか」無くても、ツイッターのタイムラインを見て情報を収集することは出来ます。情報発信力のあるユーザーをフォローしたり、ニュースサイトやショップや飲食店のアカウントをフォローしていけば、自分なりのニュースサイトが出来上がるのが、ツイッターだからです。 そして、さらに何かを起こしたければ、自分から「一歩踏み出し」、何かに「巻き込まれる」ことをおすすめします。

その為の参考書は、この本です。

マキコミの技術

マキコミの技術

 

 

 

 

 

 

 

 

ソーシャルマーケティングのフィールドワーク事例が豊富なこの本を読んで、来年は自分も「巻き込まれて」みようとお考えになることを期待しています。