【漫画】古事記の本質は漫画だった:こうの史代「ぼおるぺん古事記」
先日、ブックフェアに行った時に、思わず買ってしまったのが、この本。
もともとWeb平凡でネット連載していた内容を3冊にまとめたもの。
こうの史代といえば、広島出身ゆえ代表作である「夕凪の街 桜の国」もあり、原爆との関連の言われがち。
2004年、代表作でもある『夕凪の街 桜の国』(双葉社)で第8回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞、第9回手塚治虫文化賞新生賞を受賞。同作は田中麗奈主演で映画化され、2007年7月に公開された。
でも、彼女の特徴はタッチだし、ストーリーだと思っていた。
トーンを極力使わない絵柄で、日常生活を主なテーマとした様々なタイプの作品を執筆している。
その、こうの史代が、あえてボールペンだけですべてを書いた本。
全く連載のことを知らずにブックフェアで平積みされていたこの古事記シリーズを見たとき、私は震えました。
こんな本があったのかと。
そして、これは、古事記を漫画にしたものではなく、古事記そのものなんだと感じ、速攻手にとって15%引きで購入したのでした。
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作者の説明によれば、(出典:こちら)
驚くほどに愛らしく、自由で、残酷で、わがままな物語――。
日本最古の神話・古事記がロマンあふれる絵物語になってよみがえる!!
人気漫画家・こうの史代が原文(書き下し文)を生かしながら、
物語を「絵」で読み解いていく、まったく新しい古事記本!
第1巻は天地創生、国生み、黄泉の国、天の岩戸、ヤマタノオロチのエピソードなど、盛りだくさんの11話。
イザナキ、イザナミ、アマテラス、スサノオなど有名な神様も続々登場!
「昔からずっと、古事記を絵にしたいと思っていました。
魅力的な登場人物、ストーリーはもちろん、原文の味わいも楽しいですよ!!」――こうの史代
現代文にしたものをストーリとして漫画にするのではなく、原文がそのまま描かれていく絵解きであり、さらに原文である【古事記】が巻頭に手書きされているのですが、それを見て絵を見ると、文字が絵に見えてくるのです。
これが巻頭にあるボウルペンで書いた古事記。
古事記は、稗田阿礼が諳んじていた(暗記していた)ものを太安万侶が書き記したもの(古事記 - Wikipedia)
古事記は、私も青空文庫などで、何度かダウンロードして現代文のものなどを読んでいるのだけど、名前が沢山出てきて、その名前が長い上に、ところどころ名前が間違っていたり、脈絡がなくなったりするので、どうも読みにくい。
その読みにくさが、漫画だから無い(顔でわかる)。
そして、漢字の海にしか見えない古事記の中に埋もれていた人物たちが、ぼおるぺんで姿を与えられ、立ち上ってくるのである。その上で、言葉が動作や表情などに置き換えられると、現代語の何に相当するかなどという置換えをせずにスッとわかる。
しかも、こうして漫画にしてみると、それが日本人の感性なのか、もともと文字だけで表現されている内容がとても漫画的であることがわかる。文字に文字を重ねる事で、あの仰々しい名前も、禍々しい形容も、その多くは戯画化のための就職だという事がわかるのだ。
もちろん、手塚治虫の火の鳥などを始め、文字通りの古事記の漫画化だとか、多くの漫画家が古事記を描いている。
でも、この本は突出して、古事記そのものであるといえるのだなあ。
だから、こういう受賞を受けるのも道理だと思う。
『ぼおるぺん古事記』が、平成25年度「古事記出版大賞」の稗田阿礼賞を受賞しました - 平凡社
「大賞は、古事記の魅力や奥深さ、内容の豊かさを分かりやすく伝える出版物を紹介するのが狙い。今回は平成20年7月から25年6月に発刊された、古事記をテーマにした作品が対象。読者に近い立場の書店員や図書館司書らが審査員を務め、雑誌や漫画など幅広い分野から選考する。」
しかも、稗田阿礼賞。
古事記を暗唱していた人の名前は、古事記の書き出し分をそのまま文字と絵で表現したこの本に最もふさわしい気がする。
■大賞
『地図と写真から見える!古事記・日本書記」
著者:山本明
西東社■太安万侶賞
『マンガ古典文学 古事記」
著者:里中満知子
小学館■稗田阿礼賞
『ぼおるぺん古事記」
著者:こうの 史代
平凡社■本居宣長賞(三重賞県)
『古事記の恋」
著者:清川妙
いきいき㈱■武内宿禰賞(和歌山県賞)
『絵画と歴史で解き明かす決定版『古事記』の世界」
文:武光誠 画:梅田紀代志
小学館
主な登場人物はもちろん古事記の流れのとおりだけど、そこを3冊にしてあることで、時代の中の主な主役が見えてくる
出雲繁栄 地の巻 オオクニヌシ
どの主人公も可愛らしく、天衣無縫で天真爛漫。
去年出雲に行った私としては、オオクニヌシが好きですけどね。
色々主人公を見比べながら読むのが楽しいですが、
これはもう、三冊まとめて読むのが一番だと思いますよ。
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