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【書評】自分の頭で考えるとはどういうことか?:考える練習帳

新年読み始めは、この本でした。

 

考える練習帳

考える練習帳

 

 地頭力のシリーズで「頭が良い」とは何かに一石を投じた細谷さんが、今度は、AIで仕事が奪われるというようなムーブメントの中で、人間のつよみである「考える力」をどう鍛えるかを問うた本です。

www.diamond.co.jp

目次は以下の通り

はじめに

「自分の頭で考えること」が重要
あなたは、自分の頭で考えていますか?
知識・経験から思考力が重視される時代へ
考える力の「使用上の注意」

第1章 「考える」と、何かいいことがあるの?

考えることには、多くのメリットがある
1 世界が変わって見える
2 「先が読める」ようになる
3 「自由に」なれる
4 AIとうまく共存できる
5 仕事や勉強ができるようになり、人生が楽しくなる

第2章 「気づき」=無知の知で勝負が決まる

無知の知」を知っていますか?
「気づいたら」勝負はついたも同然
考えるとは「疑ってかかる」こと
なぜ、疑うことが重要なのか?
考えるとは「自己矛盾を知る」こと
考えるとは「3つの領域」を意識すること
考えるとは「川上」と「川下」の違いを理解すること

第3章 知識重視の価値観から脱却する

思考回路の転換にチャレンジする
考えるとは「知識の価値観を捨てる」こと
「常識の海」から抜け出す方法
考えるとは「すぐにネットを見ない」こと
考えるとは「『常識』という言葉を使わない」こと
考えるとは「正しい/間違い」と言わないこと
考えるとは「正解を求めない」こと
考えるとは「専門家バイアス」から抜け出すこと
考えるとは「分けない」こと
考えるとは「動的である」こと

第4章 「考える力」を起動させるための工夫

考えるとは「自分から動く」こと
考えるとは「変化を起こす」こと
考えるとは「なくても何とかする」こと
考えるとは「モヤモヤに耐える」こと
考えるとは「空気を読まない」こと
考えるとは「戦わなくて済ませる」こと
考えるとは「裏をかく」こと
考えるとは「リスクをおかす」こと
考えるとは「差をつける」こと
考えるとは「尖らせる」こと
考えるとは「数字で判断しない」こと
考えるとは「並ばない」こと
考えるとは「ちゃぶ台返しをする」こと
考えるとは「質問する」こと
考えるとは「自由である」こと

第5章 考えるとは「見えないものをつなげる」こと

「見えるもの」と「見えないもの」の違い
考えるとは「見えないもの」を意識すること
「今ある」ものと「今ない」もの
手段と目的
「やること」と「やらないこと」
個別の事象とそれらの「つながり」
考えるとは「向こうから見る」こと
考えるとは「飛躍がない」こと
考えるとは「なぜ? と問う」こと
「上から見る」ことで部分と全体をつなげる
考えるとは「全体を見る」こと

第6章 考えるとは「まとめて扱う」こと

考えるとは「共通点を探す」こと
具体と抽象
考えるとは「極論する」こと
考えるとは「一言で表現する」こと
考えるとは「経験の限界を知る」こと
考えるとは「具現化する」こと
考えるとは「飛躍する」こと

第7章 「考える」ことの使用上の注意

「孤独」に耐えられる?
悩みが増える?
決断が遅くなる?
使いどころを間違えないこと
他人が信用できなくなる?
他人に嫌われる?

おわりに

細谷さんといえば、地頭力

地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」

地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」

 

 

 地頭力の最初の本が2007年なので、10年経ったのですが、相変わらず「当たり前に思えることを明確に提示する」素晴らしい語り口で、本を読みつつうなずくことばかりです。

AIにできることは、今の段階では、ディープラーニングと強化学習なので、設問がはっきりしている場合には、圧倒的なスピードと量でコンピューターが人間を凌駕してしまうわけです。しかし、コンピュータには設問そのものを作ることはできませんし、曖昧な枠組みでは答えを導くことはできません。

しかし「考える力」すなわち思考力を研ぎ澄ませておけば、知識重視の価値観から脱し、企業や大学などで横並び集団から頭ひとつ抜け出すことができるでしょう。

 

そして、この本が単なる自己啓発や考え方の方法の習得本ではないところは、第7章にあります。

「第7章「考える」ことの使用上の注意」のなかで、「思考停止の方が幸せなこともある」と指摘しているように、常に自分の頭で考えることには、苦しさ、辛さが伴います。みんなと同じように生きられない、自分で答えを出さないと気が済まない、というようなマイナス面もあるからです。

それでも考える人であることは有意義です。

時に、ググることすらせずに、周りに答えを聞きまくる人もいますが、それはそれで幸せだと思います。でも、ググらずにはいられない人もいるし、それ以上に、ググった答えがWikipediaくらいでは満足できない、なるべく一次資料に当たりたい人間もいます。

まあ、私のことですが。

一次資料に当たって、どうしてそうなったかを追体験したい。それしか楽しくないというのも、一つの不幸だと思います。

でも、私は、考える人でいたい。

この本を読んで、改めてそう思ったのでした。

 細谷さんの他の本も面白いので、この際どうぞ。

地頭力のココロ

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アナロジー思考

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ビジネスモデル×仕事術

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「無理」の構造――この世の理不尽さを可視化する

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