その1では、塩尻までの移動だけでしたが、ここからは漆器祭りのお話。
公式サイトによれば、木曽漆器祭りとは
木曽平沢で行われる年に一度の大漆器市です。
町並みには約120店舗もの店が建ち並び、職人の精魂込めた銘品や逸品をはじめ、この日しか出ない製品や蔵出し物が店先に並び、最近では若者向けの創作漆器も商品化されています。
ということで毎年、この時期に開催される漆器市のこと。
塩尻から車で向かい、木曽平沢の楢川小学校の臨時駐車場に車を止めます。
この小学校が、実は大変素敵なんです。
この写真の通り地元の木曽ヒノキを使った木造なんです。
長野県の塩尻市立木曽楢川小学校は、平成3年に木造校舎を新築しました。地元のひのきをふんだんに使った、木の香り漂う空間。木には音を吸収したり、湿度を調整したりする働きがあります。
この小学校は、平沢と奈良井を結ぶ祭り用の臨時無料シャトルバスのバス停にもなってますが、あえて歩いて平沢に向かいます。
小学校の裏を流れる川沿いを歩くと、山が近いのも感じますし、新緑を通る風と川の流れに実に癒されます。
平沢地区に到着。
この通りの周りに100軒以上の漆器屋さんがひしめいています。
想像以上の数がある一本道の両脇に並ぶ店を1件ずつ覗いていると結構疲れます。
こういう昔ながらの家並みが並んでいる中に、知人の実家である名店を発見。
妻が10数年前にこの平沢にある木曽漆器館の展示やパンフの仕事をしていて、その時にお世話になった学芸員さんのご実家なのです。
学芸員といっても、元々芸大の漆器科を卒業し、現在はご自分も漆器のプロデュースや展覧会などに出ているアーティスト。
今日はご実家で手伝いをしていると伺って、お邪魔しました。
私たちのように、お店と知り合いだったり、お客様だったりした場合、お店の奥にあるご自宅や蔵に招き入れられ歓待を受けます。
この日も「何もなくて」とか言いながら、ご馳走を用意されていて、私たちもいただきました。
三種のおこわとぼた餅でお腹いっぱい。
きんぴらとかふきとかタケノコなど地元野菜の料理も美味い。
この辺りの家は、どこも間口が狭く、奥行きが長い。店によっては裏の道まで繋がっています。そこに蔵や工房があるわけです。
間口が狭いのは街道沿いの特徴で、税金対策ですね。
京都の町屋とかと同じ理屈です。
こういう間口の大きい店はそれだけ立派だということを示しているわけです。
それにしても漆器といってもバリエーションがすごい。
しかも、ちょっとした傷や職人が弾いたB品となると極端に安くなっています。
50円とか100円の皿やおちょこなんかもありますし、東京ならば数千円しそうな器が1000円切る値段だったり。
でも、ちゃんと良いものはそれなりのお値段。
生地の値段と漆の値段、装飾の値段と、積み重なって、素敵な器はやはり数万円します。
同行した方が、50円の皿を買った後に、悩みに悩んだ結果、25000円の器セットをお買い上げ。この振り幅が、漆器市の醍醐味です。
夕方になったので、駐車場に戻って本日の宿に向かいます。
(続く)