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【観劇】名取事務所:ジャスパー・ジョーンズを観てきました

14日の日曜日、下北沢・小劇場B1に観劇に行ってきました。

下北沢では散々芝居を観ていますが、この劇場は初めてかもしれません。

タウンホールの地下にあります。

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表題通り「ジャスパー・ジョーンズ」というタイトルのオーストラリアの作品です。1965年の夏という時代設定なのですが、オーストラリアなのでクリスマスから大晦日の花火大会が終わったニューイヤーまでという季節感で、劇中のセリフに日本人には色々と混乱します。

しかし、内容は、平凡な少年の一夏の成長譚というもので、時代設定や背景は全く違うものの、そこに通底する問題は、差別やいじめ、大人からの抑圧、小さな町の閉塞性など現代日本の若者が置かれた状況と似通っており、ある種の普遍性のもとに描かれています。だから、今、この日本で上演するのでしょうけど。

原作は2008年にオーストラリアで書かれた小説で、翻案戯曲は2015年に初演され、2016年には映画にもなっているそうです。

まだ上演中なので、ネタバレはしないようにしますが、内容は、まさに青春という言葉を構成する全ての要素を盛り込んだと言えるようなものでした。

友情、冒険、恋、出会い、別れ、そうしたことで大人への階段を上って戻れなくなってしまう一夏の成長の物語。

主役のチャーリーを演じた窪田亮さんについては、タッチで知られる声優の三ツ矢雄二さん率いる劇団アルターエゴ(残念ながら閉鎖)で見ていて、彼が女優の中村まり子さんが主宰するパニックシアターに参加するようになってからは多分全部見ているはずです。

5年前のアルターエゴの芝居で褒めたソランジュ役が窪田さんでした。

fujita244.hatenablog.com

いつも中性的というか、性別も年齢もわからないような役を飄々と演じている彼なのですが、今回は、大熱演。2時間の上演中出ずっぱりで、叫ぶ、掘る、自転車をこぐ、走る、全身でチャーリーを演じていました。

本の虫でインドア派の少年にぴったりの見た目な窪田さんが、チャーリーがどんどん巻き込まれ、放たれていく姿を熱演することで、この夏一人の少年が大人になるというテーマが浮き彫りになっていく。適役でした。

https://www.instagram.com/p/Bz4nDoYglkX/

今日は芝居

ジャスパー(タイトルなのに主演じゃないアボリジニとの混血児と言われる町の鼻つまみ者)を演じた西山聖了さん、チャーリーの友達でベトナム人のジェフリーを演じた森永友基さんも良かったのですが、何と言っても、中盤からのキーパーソンである少女イライザを演じた大橋繭子さんが良かったです。

演劇集団円の所属のようなので、演技派なんでしょうけど、ねっとりとした内にこもった情感を意味ありげに発していて、タイプとしては門脇麦さんみたいな感じになってました。多分、普段の彼女はそんな感じじゃないんだろうけど、この話のイライザが持つ不透明感というか、話的には最後に爆発するんですが、その伏線としての秘めた何か不穏な感情を持つ少女の感じがよく出ていました。

本にも演出にも、過剰感というか、意味ありげ感が多くて、芝居としては個人的には好みじゃないところも多かったんですが、とにかくこの若い4人が頑張っていて、好感が持てました。

公演は21日までなので、お時間のある方は是非見に行ってください。

www.nato.jp