【大人の遠足】勝手にワインツーリズム:その1:複雑だった今年のワインツーリズムとシンゲンランド
ここ数年、毎年この時期になると、ワインを飲みに山梨に行っているわけです。
去年はこんな感じで、中止になった中を行ってきました。
一昨年はこちらから。
2018年
遡って、最初に参加したのは2014年でした。
ということで、8回目のワインツーリズムなのですが、今年は、去年中止になったことを踏まえて、分散型の開催になり、また、同時期に山梨県が進める「シンゲンランド」との兼ね合いもあって、なかなか複雑な感じになっていました。
今回は、甲州市勝沼のワイナリーを中心としたエリアを対象に11/6、7、13、14、20、21、27、28の期間の開催となります。
また新たな移動手段として「AI乗合タクシー」を導入します。これまでのエリア内を巡るバスを利用する方式から、参加者の皆さんがスマホを使ってタクシーを呼び出す方式が利用可能となります。参加お申し込み方法は、「ワインツーリズムのみ」、「AI乗合タクシーのみ」、「ワインツーリズム+AI乗合タクシー」の3つのプランからお選びいただけます。
3週の週末に開催し、1開催300人限定。
そして移動手段は、ワインツーリズムだと、朝夕に専用バスで中心部まで往復ができる。
また、ワインツーリズムに申し込まなくても、各ワイナリーを巡るのは自由で、その場合、足としてAIタクシーを使うことができる。
AI乗合タクシーを利用するには、 「Japan Travel Guide+Connect」から
「SHINGEN PASS+ワイナリー」の購入が必要になります
また、両方を選ぶこともできる。
さらにわかりにくいのが申し込んだ場合の料金で、ワインツーリズムに申し込むならば、4400円。
AIタクシーを利用するためにSHINGENPASS+ワイナリーに申し込むと、大人一人だと7000円、グループだと割引が効いて、2〜3名だと6000円/名、4人以上だと一人5500円。
これは、AIタクシーに乗る曜日はどちらか指定で、SHINGENPASS は土日2日間有効。
今回、私たちは、リーダーのT先輩が、グループ申し込みでSHINGENPASS+ワイナリーを申し込んでくださったのですが、当日、これがまた混乱の元になります。
その前に、シンゲンランドについても説明が必要ですね。
2000円で指定された区間を走るバスが乗り放題というのがPASS で、これは、やまなし観光MaaS実証事業の一部なのだそうです。
実証事業では、通常は走行していない、観光地をダイレクトにつなぐ本事業専用バスを、また、ワイナリーエリアではAI乗合タクシーを運行するなど、様々な交通サービスを提供します。
これらは一日乗り降り自由の専用パス(シンゲンパス等)により利用が可能となります。
【シンゲンランド】というのは、この実証事業の開催エリアの呼称で、まあ、山梨といえば、信玄ということでしょうね。
甲府市及び峡東3市(山梨市、笛吹市、甲州市)で、今ここでしか味わえない旬の魅力(観光コンテンツ、イベント等)をいっぱいに詰め込んでテーマパーク化したものです。その呼称です。
どうも、このMaaS実証事業が先にあって、そこにワインツーリズムが組み込まれた様で、実に馴染んでいない実証実験でした。
第一、乗合タクシーがAIだというのがわからない。別に無人タクシーなわけでもないし、自動運転機能なわけでもない、普通の観光タクシーがアプリで呼ぶときてくれるだけです。
乗合を売りにしているのですが、私たちは5人でのグループ移動なので、ワゴンタクシーでも1グループで満員ですがな。乗り合いにはなりませんよね。
しかも、タクシーの乗車場所、降車場所はあらかじめ決められた地点だけで、ワイナリーまで行くわけでもありません。
AIというからには、巡回サラリーマン問題でも解いて、最適解の道を選ぶとかあるのかと期待したのですが、普通に大きな道を走るだけでした。
この会社のサービスを利用した様ですね。
SAVSとは、タクシー(デマンド交通)と路線バス(乗合交通)の長所を掛け合わせた、AIによるリアルタイムな便乗配車計算を行うサービスです。クラウド上のAIプラットフォームがスマートデバイスと通信し、刻々と変化する車両と人・物の移動状況において、全ての空間移動と希望時間を同時に満たす車両の走行ルートを瞬時に決定します。
今回はそこまで複雑なことをやっている様には見えませんでしたが、使い様によっては色々できるのかも知れませんね。
実証実験という名前で予算がつけられたのでしょうけど、アプリとAIでDXな気分を醸し出していますが、やっていることは、もっと簡単で低予算でできそうなことじゃないかなあ。
観光タクシーの配車だけならば、既存のタクシーアプリでもできるでしょうし、今回のような配車拠点を決めて動かすならば、勝沼駅と広い駐車場を持つワイナリー2箇所くらいにタクシープールを設けて、呼び出しに応じる仕組みでもカバーできそうです。
乗り降り自由のシンゲンパス利用のバスに至っては、実に閑散としていましたし、その走行ルートが観光拠点を巡るというには大雑把なんですよね。拠点間を結んではいるんですが、もう少し細かくバス停が欲しいかなあ。
これまでのワインツーリズムは、現場の声を生かしたきめ細かいサービスと、ワイナリーの開発が素晴らしかったわけで、巡回バスのバス停にしても、回る側の気持ちにあったバス停になっていたと思います。
ところがシンゲンランドにしてもAIタクシーにしても、そうした、現場からの積み上げで作られたサービスではなく、お役所のポンチ絵と企画書が優先された大雑把な枠組みを現場に落とし込む作業がうまくできいなかった様に思われます。実証実験として成功したのかどうかをきちんと検証してもらいたいと思いますが、多分「一定の成果はあった」という自画自賛で終わるのでしょうね。
対費用効果とか、利用者の声がきちんと分析され、今後に生かされることを望みます。